古賀茂明「2030年原発ゼロを諦めてしまった民進党はおしまい。」

民進党の蓮舫(れんほう)代表は、3月12日に控えた党大会で、原発ゼロ達成の時期について具体的に表明しない方針を固めた。

そんな民進党を、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、「あまりにもだらしない」と批判する。

旧民主党の野党転落から4年。さっぱり支持率の上がらない民進党に、天からの贈り物が届いた。森友学園スキャンダルがそれだ。急に元気づいた民進党議員の嬉しそうな顔が連日テレビに映し出される。

しかし、この騒ぎで同党の本当の悩みが解消されることはなさそうだ。

民進党は3月12日に党大会を控えている。そこで蓮舫代表が安倍政権との対立軸にしようと、原発ゼロ達成の時期を「2030年代」から「2030年」にするという方針を打ち出すと宣言した。と言っても、「30年代」を「30年」にするだけだから、大した話ではない。

仮にそう決まったとしても、党首討論をやれば、安倍総理から、「30年まで原発を動かすと宣言してくれて嬉しい。一緒に原発再稼働を進めて行きましょう」などとからかわれても仕方ないような内容である。この程度の話だから、まあ、今回はまとめるのだろうと思っていたら、とんでもない結論になってしまった。3月12日まで2週間も残した2月27日、蓮舫代表は、事実上、「30年」への前倒しを断念してしまったのだ。

理由は民進党最大の支持母体である日本労働組合総連合会(以下、連合)が、この方針に激しく反対したからだ。電力労組や鉄鋼、重工などの基幹労連を抱える連合はもともと、原発ゼロの政策には慎重だった。実現すると、原発関連の仕事がなくなり、組合員が職を失いかねないからだ。

民進党には、選挙は〝連合頼み″という議員が少なくない。最大の票田というだけでなく、選挙時には傘下の労組組合員が候補の手足となって選挙戦を支えている。そのため、「2030年原発ゼロ」に賛成すると連合の不興を買い、次の選挙で協力してもらえなくなると恐れる議員らが、次々と「反蓮舫」に回り、あっという間に包囲網が構築されてしまったのだ。

しかし、ここではっきり言おう。民進党はあまりにもだらしない。福島第一原発事故から6年がたち、その風化が懸念される今でも、原発の再稼働に慎重な国民は世論調査で常に半数を超える。原発再稼動へとひた走る安倍政権から政権を奪い返すつもりなら、今すぐにでも「原発即時ゼロ」の公約を掲げ、真っ向から戦う覚悟を示すべきなのだ。

だが、実際には従来の公約から最大で9年間前倒しするだけの、「2030年ゼロ」公約すら断念してしまった。こんな政党に、政権を任せたいと考える有権者はいないだろう。

A級戦犯の連合は原発政策だけでなく、労働政策でも、安倍政権にすり寄っている。

今国会での成立が予想される残業上限規制法案で、「繁忙期にかぎり、月100時間までの残業を認める」という政府の方針に、表面上は反対の意向を示していたが、ついにこれも条件付きで認めることになってしまった。過労死対策の核心となる「インターバル規制」(退社から翌日の出勤まで、一定の休憩時間を企業に義務付ける)に至っては、ほとんど議論もしないで法制化を諦めている。

私はもはや、連合は労働組合と呼ぶに値しないと考えている。政府寄り、財界寄りの姿勢が目立ち、大企業の正社員という地位を守りたいだけの既得権益団体に成り下がっている。「労働組合総連合会」ではなく「経団連労務部」へと名称を変更したほうがいいだろう。

そんな連合に首根っこを押さえられ、市民目線の政策を打ち出せずにいるのがいまの民進党である。支持率が伸びないはずだ。

今年1月4日の党本部の仕事始めの席で、野田佳彦幹事長は「我々はすでに水中に沈んでいる。そこからどうやって浮き上がり、岩肌に爪を当ててよじ登っていくか、覚悟が問われる」と檄を飛ばした。

だが、いまの民進党からその覚悟を感じることはできない。次の党大会で蓮舫代表が打ち出すはずだった目玉政策、「2030年原発ゼロ」を断念した民進党はもう終りだ。こんなだらしない政党に未来はない。

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